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母の詠草


by hahanamiko

三十七年 三月

笹子路は雪におほはれゐたりけり芽吹きの色にけぶりながらに

デパート幾つ上り下りして三時間大丸に買ふ木目込みの雛

一万円五万円五十万円かぎりなし雛にも懐ふ人間の段階

洋子にも和子にも似てふくよかなる雛なりこれと決めたる理由

灯をすいて真紅に光るひとところ噴き散る水をあやしくみせて

白きカバー清々とせる座布団に茶がうまかりき浦和母子センター

一枚のハンカチを売り足袋を売り母子会が建てしセンターなりと

母の日のカーネーションの花造る手さばきを見る階下作業場

枯草のなびく広原はるかなり此処は習志野演習場跡地

一毛作の湿田つづき藁ぶきの屋根多き村遠くに見ゆる

波立てて肩を越えゆくいで湯にも入りてみるなり眼つぶりて

冷々と素足に歩む朝早きヘルスセンター熱海館を

一握りの香投げ入れて成田山本堂に合掌す思ふことなく

壱千円永代供養と書かれたる碑が並びゐき本堂裏に

足袋裏を土によごして本堂をまわりてゐたり女二人が
by hahanamiko | 2015-07-12 21:28 | 美知思波