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母の詠草


by hahanamiko

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双葉町登美の高地をバスは行く赤きほこりを巻き上げながら

山幾つ越せる峡に村ありて段なせる田稲の穂そよぐ

とうとうと落ちて泡立つ滝壺を見下ろす岩に六人座る

木を組し牧場の柵を入りしかばそこはかとなき馬のにほひす

艶やかに毛並み光らせ青は青栗毛は栗毛の仔がつづきたり

とりどりの花乱れ咲き目の限り花園をなすここのなだりは

頂の大いなる岩に侘ちてゐて手を振る順子の赤きブラウス

野辺山に近き頂より山独活の花が咲きをり白くこごりて
by hahanamiko | 2011-09-15 00:06 | 美知思波

昭和三十三年

まだきより田に響きくる拡声器なべては水のことばかりなり

焼け畠に七月の陽はきびしくてかさかさと鳴るもろこしの葉が

二十日鼠のはだら子を畦の上におき殺してがなく見ていたりけり

換金作物転換の話もはらなり乏しき水に田を植えながら

十三時間労働すでに幾旬ぞ鬢も伸びたり日焼けし顔に

毒虫に刺されし足がひりひりと痛みやまざり泥の中にて

雨を待つ人々の願いむなしくて空あかあかと暮れそめにけり

ふやけたる足に小砂利をふみながら暗みそめたる野路を帰る

繭米野菜すべてを人の定める値段にて売らねばならぬ百姓

教職を一筋の道と学びたる若き等の行く手いかにせよとや

職無くば家にしありて良き妻となるべき業にいそしめ洋子

とくほんを両肩にはりひねもすを横たわりいて美知思波を読む

すだれ越しの風を受けつつ式台に蟻忙しく動けるをみる

時折はとどまりて触手振りながら何を探すか黒蟻二匹
by hahanamiko | 2011-09-07 22:42 | 雑詠