母の詠草


by hahanamiko
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柿の皮くるくると膝に落としゆく君の手先の動き見てゐつ

神々もみそなはすべし母の手に育ちし子等のかく逞しき

褐色の柱のつやを見てゐたり風邪に寝ねたる床の中にて

新年歌会たけなはならむと想ひつつ床にゐるなり転々として

成年を迎へし愛娘逝かしめて君の白髪とみに増えたり

喪服着て夫君と侘ちし君の前もの云われざり泪あふれて

遺体十六並べられたる火葬場に正月五日の陽は暮れむとす
by hahanamiko | 2012-01-24 18:24 | 美知思波
浴室の窓より見ゆる釜無川ゆるくくねりて南にむかふ

焼松茸に青き松葉がそへてあり柚子の酢に食ふその一皿を

門脇に店しつらへて色々のもの売り給ふ未亡人君は

幾百の俵収めし塗りごめの土蔵むなしく閉ざされてあり

根こそぎに倒されしとふ柿の木にここだ色づく富有柿次郎柿

奥庭の泉水は水涸れしまま幹太き松におほはれてあり

背を丸く炬燵にいます姑君が吾が祖母のことしきりに話す

ひとりなる君が愛娘によきゑにし結ばれにけり祝はざらめや

ふろしきに重たくつつむ富有柿いただき帰る夕づく町を

台風の予報しきりなり瀬戸の海ふねゆく娘等に恙があらすな
by hahanamiko | 2012-01-24 18:14 | 美知思波
診療室に流れこみたる雨水をバケツにしぼる二時間余り

落ち柿を拾ふ幼なの声すなり台風やみし朝まだきより

欠け瓦山と積みたる所よりほそぼそとしてこほろぎきこゆ

いはれなき罵りの声聞きてゐてうつむきしまま動かざる君
by hahanamiko | 2012-01-22 23:39 | 美知思波