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母の詠草


by hahanamiko

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ー上野姉宅にてー

訪へば葡萄剪定にいそがしく鋏をならし君はいませり            




ー生更先生と願成寺にてー

おでんの匂いする韮崎の路地をゆき出はずれしところ展く稲田が

釜無の音がうしろに遠くなりて坂を登ればすぐ願成寺

古びたる本堂の内に拝したり願成寺国宝如来三尊
by hahanamiko | 2009-08-02 23:49 | 美知思波


からたちの垣根の低きところより揚葉の蝶が舞いいでにけり

ひと群れの萩とすすきがゆれており遊亀公園北の一隅

隣家の榎木の太き幹折れて屋根に落ちたり響きをたてて




濁り水流るるままに川岸の葦もすすきもなびきいるなり

一泊二百円一時間百円と記されし宿があるなり街のそこにもここにも




太陽族というは一部にすぎざりと洋子は眉を上げて抗ごふ





石鹸水を売る人ありて七彩の玉散らすなり岡島角に
by hahanamiko | 2009-08-02 23:45 | 美知思波

昭和 三十一年 十月号



ー生け花教室にてー

つげに菊同じき花材活け上げて七人の花かくて七色

各々の花に個性のあらわるるを恐しとも楽しとも思ふ
by hahanamiko | 2009-08-02 23:42 | 美知思波

昭和 三十一年 十月号

ー能泉婦人会員の接待ー


松茸の汁をそえたる名物のそばは会員の手になりしもの

莢隠元と百合根が殊に珍しく山の料理が大皿にあり

幾たびか遊びたれども夕暮れの峪の景色は今日ばかりなり





イスラエルハンガリーすでに戦えり誠にこの世は弱肉強食





白寿を祝うが我が望みぞと久原老翁の笑い声響く
by hahanamiko | 2009-08-02 23:40 | 美知思波

昭和 三十一年 十月号


ーみたけ発電所見学   甲府市連合婦人会ー

一分間五百回転の力とぞ巨大なる輪がうなり立てつつ

もろもろの機械の音のする中を見て歩くなり話し聞きつつ

五人以上渡るべからずと書きてある長き吊橋友と渡りぬ

橋の半ばを過ぎし頃よりゆらゆらと揺れ出だしたりこの吊橋は
by hahanamiko | 2009-08-02 23:34 | 美知思波

昭和 三十一年 十月号

しわ多き額も口も亡き母にこの頃とみに似しという吾

正客を夫次客を吾にして洋子は袱紗をさばきいるなり



茜さす北山空に一片の雲あるを見つつ歩めり



無花果をとりていたらむ子供らの塀をとびこす音きこへたり

文殊社の庭に茂れる大榎木陰はこどもの遊び場にして






バルブ汚水にしじみもハヤも死にゆきて残れるはただエビガ二ばかり

洗濯物すすがむすべもなくなりてただ 流れゆくバルブ汚水が

家庭生活と社会生活と両立せず このごろ吾の悩めるはこれ
by hahanamiko | 2009-08-02 23:32 | 美知思波

昭和 三十一年 九月号

-夏季休暇に-

洋子の作りしカスタードプリン美味かりき氷の破片ひとつ浮かべて





-森本の叔母上逝く-


今日よりは君のいまさぬ庭先にシュウカイドウの花さかりなり




-故里の家にて-

桑摘みつ田を耕しつ尊徳の教えを吾らに説きませリ父は

背をかがめ草をむしりていましたり八十歳にて健やかなる母
by hahanamiko | 2009-08-02 23:29 | 美知思波


チロチロに清水流るる沢の路子の蟹ひとつ逃げてゆきたり


山畑の間の道を幾曲がり登りて立てり坊が峰の上
by hahanamiko | 2009-08-02 23:22 | 美知思波


薄き布団にくるまり寝て語り合ふ婦人会のこと青年団のこと


午前八時稲毛の浜はしずかにて潮ひくさまの明らかにみゆ
by hahanamiko | 2009-08-02 23:19 | 美知思波


深草の観音像は岩山の岩をうがちし中にまします


親子六人山に登りて云うことなし生のけわしさしばし忘れむ
by hahanamiko | 2009-08-02 23:16 | 美知思波