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雨にぬれて色まさりたる山うるし黄に染む山のところどころに

千曲川にそひて過ぎゆく佐久平稲はなびけり見わたすかぎり

戸倉ヘルスセンター県営にて年間数千万の赤字なりとぞ

川中島合戦の址と指ささる広き河原に薄がそよぐ

しづしづと聖が歩む両がわに数珠受けむとて人等うづくむ

内堀に影うつしたる天守閣五層がゆるる波のまにまに

日本一の生糸の町とうたはれし岡谷に製糸場減るばかりとぞ



薬まきて田の草は一度も取らずといふ稲実る田の畦に立つなり

杭に打つ木の年輪が細かくて三十年は経ちてゐるなり



植木市をひと廻りしてほしきものあれこれと見つなんにも買はず

二時間のあひだつくづく見て廻る花器も香炉も皆ほしきもの



奥みたけより夏に採り来し楓なり庭の陽なたにくれなゐなせる



昇り竜下り竜のこと語り合ふ朱色鮮やかなる拝殿に

眼つぶりて祝辞を聞けり拝殿の円座といふに吾ら座りて

手に付きし金粉みつつ思ひ出つ父が賜いたるみたけの鈴を



街頭に公明選挙のビラ配る色々の事思ひつづけて
by hahanamiko | 2012-02-16 00:15 | 美知思波

昭和三十五年 十月号

箸持ちて吾が家の夕げ食し給ふケンブリッジ大学教授ギブソン博士

枝豆を一粒一粒むきながら食べ給ふなりギブソン博士


あら草の丈なす茂り荒川の岸を中洲をうめつくしおり

築山の松かたむきて池に這ふこの趣も台風のため



一合の酒二人にて分ち呑み機嫌がよろし夫と息子と

底に手をつきて泳ぎの真似しつつ吾ら六人湯に遊びゐて
by hahanamiko | 2012-02-14 13:10 | 美知思波

昭和三十五年 九月号

ひりひりと裸のうでが痛むなり真陽照りつける笛吹河原

湖尻よりきほひ下れる水勢のしずかになりて町の中ゆく

美知思波七月号巻末に貼りおかむ君がみ歌のひとすじの道

巨大なる機械はすべて被われて唯大いなる音がとどろく

姑上にいただきしと云ううす衣の濃紺が匂ふ朱色の帯に
by hahanamiko | 2012-02-14 13:01 | 美知思波

昭和三十五年 八月号

畔道にござ敷きならべひろげ食す流るる水に足をひたして

畦草のしげりをぬきて彼岸花ところどころに咲きいでにけり

稲の色青み来たりて乱れ葉のゆれやわらかに朝の風ふく

水際に麻菰の茂るひと所夕陽は光る波のまにまに

一枝に五つの蕾咲きそめて壷に重たし山百合の花

紺がすりに赤き帯して乙女等が田植えせりけり二十年前は

音たてて流るる水に沈めたるジュースを畦に侘ちて飲みたり



いづれ良しと日定むべき右左みなそれぞれの理わりありて

友情を打算にかへよと云ふ人あり吾は黙して帰り来にけり

声荒く満座に人を辱しむいつもながらの横車にて

しみじみと独りなりけり集まりて人等の話題聞きながらゐて



吾が呼べば物憂げにジャック首上げて尾を動かせり牡丹のした

岸さんの血が絨毯に染みたりと云ふ記事を読む顔よせ合ひて
by hahanamiko | 2012-02-13 15:32 | 美知思波

昭和三十五年 七月号

天使像かざられてゐる床前に慰問の品を積み上げにけり



泡立ちつしぶきつ水は流れ下る白き巨岩のつらなる所

トラックに張りたる綱に縋りつつ石ころ路を登る一時間

山小田に水張られゐて苗代の早苗そよげり五月の風に



哺乳びん舌におし出しいつしかに眠り入りたるみちたる顔に

挿しおきし薔薇が小さく芽ぐみしと夫はこごみて吾を呼びをり
by hahanamiko | 2012-02-12 22:47 | 美知思波

昭和三十五年 六月号

庭石のくぼみの水を折々に動かして雨降り止まぬなり

大でまり小でまり今を盛りにて雨降る庭を明るませおり

京島式と先生は笑ひ給ふなり葉に開きたるわらびを採るに

吉田先生の手入れ見事に庭石の其の一つだにおろそかならず


姉上のえらび給ひし打ちかけぞ金糸の鶴の縫ひ盛り上がる

洋子の手かすかに震えゐたりけり巫女のささげし杯受けて

愛子を迎え洋子嫁がせ慌しく過ぎてしまえり二ヶ月あまり


耳近くせせらぎの音も聞こえゐて君が新居に陽の光みつ

桑畑穂麦の畑桃畑君が家居をめぐらするもの
by hahanamiko | 2012-02-11 13:43 | 美知思波

昭和三十五年 五月号

三原山にて

一木も一草もなく荒々と溶岩の起伏つづく裾原

楢山節考想ひつつ見てゐたりけり禿山に烏のむれだつさまを

溶岩の起伏をこへてはるかなる波のうねりの見へにけるかな
by hahanamiko | 2012-02-11 13:30 | 美知思波

昭和三十五年 四月号

バナナの房堂々と垂りてゐたりけり新宿御苑熱帯館に

とりどりの葉をこそ愛でむ熱帯の植物はいろ艶やかにして

ビロードカジラと云ふがありけり岩を這うその葉の色の深き紫

珍しき蘭の花あり袋なす花びらに石を入れしは誰ぞ

池を渡り長き林の中をゆく心合ひたる友と並びて



母の亡き三人の孫を育くみし叔母上の命いまやあやふし

四十年独りを守りこの家に生き給ひたる叔母上なりし

刀を捨て今井の郷を開きしと云ふ遠祖の墓もあるなり



己一人散りて幾人の花開く其のよろこびを夫は云ふなり
by hahanamiko | 2012-02-10 17:22 | 美知思波

昭和三十五年 三月号

二た昔過ぎたる今日を相逢ひてともに変わらぬ事をめだあふ

本よめば眼疲れて頭痛する明け暮れにして半年をすぐ

友達みな進学に忙しくをらん時トランプするに余念なき娘よ

ジェスチャーに笑ひこけたる時過ごしみかんをもちて部屋に引きあぐ

七転び八起きのだるま棚にのせめざめし床に今朝も見てをり

一と商売すまねば食事にならぬらしその間に吾も忙しく縫ふ
by hahanamiko | 2012-02-05 20:23 | 美知思波

・・・・・

茶褐色の柱のつやを見てゐたり風邪にて寝ている床の中にて

とろろ芋摺りつつ想ひ浮かぶなり山に掘ります生更先生

スキー負ひていそいそと洋子いでゆきぬ嫁すべき家のまどひに入りて

志賀高原の雪にまろびてゐるならむ夫となるべき人と並びて

雪焼けのほほあからめて帰り来ぬ私だけがころびましたと

全学連暴動の記事読みつつぞその父母の痛みを想ふ

風つのる夜半の街に着ぶくれて夜警の夫はいでてゆきたり

さんざめく笑いの中に笑はざる人二人おり席を並べて

天井の焼夷弾の穴寝てゐつつ眼ひらきて見てゐたりけり
by hahanamiko | 2012-02-05 20:13 | 雑詠