「ほっ」と。キャンペーン
みはるかすまろき山々若草の色に連なる十国峠

篠山の笹に座りてはるかなる相模の海の光れるを見つ

ヨット三つ動かぬ如し芦ノ湖をめぐらす青き山背景に

銀鼠の泥の池なり沸々と百三十度たぎりあわたつ

硫黄の煙這ひゆくところ樹々の根の白く黄色くあらわなりけり

水な底の岩のまにまに見えてゐる黒きパンツが白き足裏が

缶詰のオレンジジュース沈めたり青くよどめる滝の清水に

汗垂りて人参の草とりて居し妹に並び草むしるなり

作業衣に手甲つけて畑にゆく一人前の農婦のごとく

一畝に三条のみどり並びたり草とりをへし人参ばたけ
by hahanamiko | 2011-11-09 18:52 | 美知思波
五流の旗風になびかせ葬列はくねりて続く和田の野路を

深々と苔を踏みつつ法泉寺の広き山内を墓地に入りゆく

幼き日実を拾ひたる椿ぞと夫は撫でゐるその木の幹を

法泉寺山のお墓のひとところ吉田家一族の石碑が並ぶ

勝頼公の墓に並びて法泉寺開山和尚月舟の墓

梅の実の収入が今この寺を支ふると檀家総代の言
by hahanamiko | 2011-10-20 08:42 | 美知思波

昭和三十二年 七月号

背の君が引き給うらむ重藤の弓矢が床の間に立ててあり



饅頭はそのままにして浅漬けの胡瓜に皆の手が伸びるなり

石を掘る生徒らの腕逞しく開墾作業日に日に進む



釜無に釣りたる鮎を賜びたりし伯父上逝きてもはや十年

つばなの穂西日を受けて光をり釜無川の土手の斜面に



何事かたくらみをする人あらむこの会合の雰囲気に思う
by hahanamiko | 2009-10-30 20:25 | 美知思波


ー炭屋にごまかされましたー

母さんは人がいいよと笑いつつ夫は炭の俵をのぞく

蜜柑五個雪に埋めおき炬燵にて食べむと順子は庭に出でゆく

歯に沁みるその冷たさがうましとぞ凍りし蜜柑娘らは剥きおり





ー敬老会余興(伊勢地区)ー


赤き衣におかめの面をかむりたるこの姿夫には見せまじと思ふ

沸きあがる笑いの声を背にしつつ冷や汗かきて楽屋に走る

風呂に並びてくらべいる十七貫の君と十三貫の吾と





ー夫の叔母上を見舞ひてー


ひっそりと炬燵に座り居ましたり訪ひたる吾を見分けぬ叔母上

中庭の椋の大樹は何時の間に切り給いしか株ばかりなり
by hahanamiko | 2009-08-03 00:04 | 美知思波


ー夫の弟大手術ー

うめき声かすかにあげて手を振りぬ全身麻酔さめたるらしき

麻酔よりさめて痛みのひどからむ額ににじむ汗ふきてやる
by hahanamiko | 2009-08-02 23:56 | 美知思波

昭和 三十一年 九月号

-夏季休暇に-

洋子の作りしカスタードプリン美味かりき氷の破片ひとつ浮かべて





-森本の叔母上逝く-


今日よりは君のいまさぬ庭先にシュウカイドウの花さかりなり




-故里の家にて-

桑摘みつ田を耕しつ尊徳の教えを吾らに説きませリ父は

背をかがめ草をむしりていましたり八十歳にて健やかなる母
by hahanamiko | 2009-08-02 23:29 | 美知思波