昭和 三十二年 四月号



ー炭屋にごまかされましたー

母さんは人がいいよと笑いつつ夫は炭の俵をのぞく

蜜柑五個雪に埋めおき炬燵にて食べむと順子は庭に出でゆく

歯に沁みるその冷たさがうましとぞ凍りし蜜柑娘らは剥きおり





ー敬老会余興(伊勢地区)ー


赤き衣におかめの面をかむりたるこの姿夫には見せまじと思ふ

沸きあがる笑いの声を背にしつつ冷や汗かきて楽屋に走る

風呂に並びてくらべいる十七貫の君と十三貫の吾と





ー夫の叔母上を見舞ひてー


ひっそりと炬燵に座り居ましたり訪ひたる吾を見分けぬ叔母上

中庭の椋の大樹は何時の間に切り給いしか株ばかりなり
by hahanamiko | 2009-08-03 00:04 | 美知思波