昭和三十六年 十月号

二階のひさしにいくつもの蜂の巣がありて風除けするにもてあますなり

ガーベラの紅あざやかに見ゆるなり待ちわびし雨ひと夜を降りて

アルバイト学生と云ふが今日も来てまた買わされきゴムのテープを

バケツにて川より運ぶ幾十杯つつじもガーベラも息づきて見ゆ

下駄ぬげばこころよきかな吾が撒きし水足裏にひえびえとして

智子と二人英語に話すかたわらに手持ち無沙汰に吾は茶をくむ

四肢張りて泣きし力の抜けしとき英幸の頭うでに重たし

二ヶ月を吾家に肥えし和子なり駅までをせめて吾が抱きゆかむ

智子就職決定の報届きたり台風予報しきりなるとき

学びたること生かさむときほひたる汝が願の今ぞかなひし

釘打つがしきりに聞こゆ台風のすでにつのれる雨の最中に

四針縫ふ其のひと時をつきてゐて愛子も吾も貧血おこす
by hahanamiko | 2013-01-16 19:00 | 美知思波