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母の詠草


by hahanamiko
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ー浅井校長逝去(伊勢学校長)ー

豪放磊落の内にひそめたる責任が先生の命縮めたるらし

うつつなき内にもつぶやきいましけり学校のこと生徒らのこと

強き風に講堂の屋根なりやまず読経の声ひびくさなかに

石川教頭の弔辞幾たびか声をのみつつようやく終わる

修道尼二人乗りきて吾が前の座席に座るまなこふせつつ





しきたりの古きをわらい言いひつのる娘よ汝も大人にあらず





ー母喜寿の祝いー

七十人のうから集いて老母の喜の字を祝ふ常盤ホテルに

赤き蒲団二つ重ねて座りたる母のからだの小さくし見ゆ



ー佑幸大学卒業ー

医を学びし佑幸漸く帰り来ぬ六ヶ年精勤の賞状持ちて



ー洋子大学卒業ー


紋服に裾長き袴着けて立つ洋子が卒業の晴れ姿なり






幾本かの白髪を抜きていたりけり夫や娘の出掛けたる後





二十五センチ積りし雪が南天を地に伏せしめていまだやまざる
# by hahanamiko | 2009-08-02 23:59 | 美知思波


ー夫の弟大手術ー

うめき声かすかにあげて手を振りぬ全身麻酔さめたるらしき

麻酔よりさめて痛みのひどからむ額ににじむ汗ふきてやる
# by hahanamiko | 2009-08-02 23:56 | 美知思波
ー家の新築工事はじまるー

土管いっぱいに土が詰まりていたりけりもぐらもちの仕業なるらし

ふつふつとたぎりし汁がとびつきぬきんとんを練る我が手に顔に





新生活運動の表れならむ年賀客少なきままに七日過ぎたり





初めてパーマネントをかけし時洋子は室にこもりいるなり

嬉しげに並びて立てり左前に晴れ着を着たる智子順子
# by hahanamiko | 2009-08-02 23:55 | 美知思波
ー主婦連合会 月集山梨県代表として参加ー

主婦連合会全国大会と大いなるシャモジに書きて立てあり

紫に白き折鶴のアップリケ匂ふがごとき奥むめお女史

千八百円の化繊なりとも紫の衣凛と召す奥むめお女史

小柄なる奥むめお女史檀に立ち社会保障制度の確立を説く

味噌汁を飯を上手にまず炊けと田村魚菜先生の講義

大東京の騒音ここに届かざる五階の部屋に朝の陽をみる

顔を洗いただちに朝の飯を食す大事な事を忘れしごとく


新宿駅に会うべき佑幸は見当たらず空しくなりぬ柿も葡萄も





夜べ吹きし風に散れるは松の葉とヤツデの花の小さき玉と

続けざまにくしゃみをしつつうずくまるジャックは風邪を引きたるらしき
# by hahanamiko | 2009-08-02 23:52 | 美知思波
ー上野姉宅にてー

訪へば葡萄剪定にいそがしく鋏をならし君はいませり            




ー生更先生と願成寺にてー

おでんの匂いする韮崎の路地をゆき出はずれしところ展く稲田が

釜無の音がうしろに遠くなりて坂を登ればすぐ願成寺

古びたる本堂の内に拝したり願成寺国宝如来三尊
# by hahanamiko | 2009-08-02 23:49 | 美知思波