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昭和三十二年 七月号

背の君が引き給うらむ重藤の弓矢が床の間に立ててあり



饅頭はそのままにして浅漬けの胡瓜に皆の手が伸びるなり

石を掘る生徒らの腕逞しく開墾作業日に日に進む



釜無に釣りたる鮎を賜びたりし伯父上逝きてもはや十年

つばなの穂西日を受けて光をり釜無川の土手の斜面に



何事かたくらみをする人あらむこの会合の雰囲気に思う
by hahanamiko | 2009-10-30 20:25 | 美知思波

昭和三十二年 六月号

ウエットかドライか知らずかにかくに己の意志をのぶる娘ら



高々と帯を結びし彼の人も吾と同じき五十歳にて



笛吹の土手をましぐらにそれゆきて桑の畑のみどりに入りぬ

参道の長きを行きて檜はだぶきの屋根の美しき宮に詣づる
by hahanamiko | 2009-10-30 18:58 | 美知思波

昭和三十二年 五月号


己がじし謂ひたきこと謂ひあいてむなしき刻をすごしけるかな

鯉のあらいわかさぎのフライ蜆汁湖畔の宿の食膳にあり



笛吹のゆるき流れにうつりたり枯れたる葦と草を食む牛

山々はうす紫にかぎろひて芽生えそめたる和らぎに充つ

要害温泉の三階の窓より眺めたる山のなだりの紫つつじ







信仰とは己を正すことなりと亡父は常に諭し給ひぬ
by hahanamiko | 2009-08-03 00:07 | 美知思波


ー炭屋にごまかされましたー

母さんは人がいいよと笑いつつ夫は炭の俵をのぞく

蜜柑五個雪に埋めおき炬燵にて食べむと順子は庭に出でゆく

歯に沁みるその冷たさがうましとぞ凍りし蜜柑娘らは剥きおり





ー敬老会余興(伊勢地区)ー


赤き衣におかめの面をかむりたるこの姿夫には見せまじと思ふ

沸きあがる笑いの声を背にしつつ冷や汗かきて楽屋に走る

風呂に並びてくらべいる十七貫の君と十三貫の吾と





ー夫の叔母上を見舞ひてー


ひっそりと炬燵に座り居ましたり訪ひたる吾を見分けぬ叔母上

中庭の椋の大樹は何時の間に切り給いしか株ばかりなり
by hahanamiko | 2009-08-03 00:04 | 美知思波
ー生更先生の想いでー

蕗のとう火鉢に焼きてそのままに食ぶるがよしと師は云うましき





去年の実を幾つかつけし無花果の若木がみゆる隣家の庭に

つづみ打ちて声に入りくる万歳は三河の国の夫婦なるらし





ー  婦人会研修旅行にてー

清姫の蛇身がふっと浮かびきぬ増上寺の鐘仰ぎいるとき
by hahanamiko | 2009-08-03 00:02 | 美知思波
ー浅井校長逝去(伊勢学校長)ー

豪放磊落の内にひそめたる責任が先生の命縮めたるらし

うつつなき内にもつぶやきいましけり学校のこと生徒らのこと

強き風に講堂の屋根なりやまず読経の声ひびくさなかに

石川教頭の弔辞幾たびか声をのみつつようやく終わる

修道尼二人乗りきて吾が前の座席に座るまなこふせつつ





しきたりの古きをわらい言いひつのる娘よ汝も大人にあらず





ー母喜寿の祝いー

七十人のうから集いて老母の喜の字を祝ふ常盤ホテルに

赤き蒲団二つ重ねて座りたる母のからだの小さくし見ゆ



ー佑幸大学卒業ー

医を学びし佑幸漸く帰り来ぬ六ヶ年精勤の賞状持ちて



ー洋子大学卒業ー


紋服に裾長き袴着けて立つ洋子が卒業の晴れ姿なり






幾本かの白髪を抜きていたりけり夫や娘の出掛けたる後





二十五センチ積りし雪が南天を地に伏せしめていまだやまざる
by hahanamiko | 2009-08-02 23:59 | 美知思波


ー夫の弟大手術ー

うめき声かすかにあげて手を振りぬ全身麻酔さめたるらしき

麻酔よりさめて痛みのひどからむ額ににじむ汗ふきてやる
by hahanamiko | 2009-08-02 23:56 | 美知思波
ー家の新築工事はじまるー

土管いっぱいに土が詰まりていたりけりもぐらもちの仕業なるらし

ふつふつとたぎりし汁がとびつきぬきんとんを練る我が手に顔に





新生活運動の表れならむ年賀客少なきままに七日過ぎたり





初めてパーマネントをかけし時洋子は室にこもりいるなり

嬉しげに並びて立てり左前に晴れ着を着たる智子順子
by hahanamiko | 2009-08-02 23:55 | 美知思波
ー主婦連合会 月集山梨県代表として参加ー

主婦連合会全国大会と大いなるシャモジに書きて立てあり

紫に白き折鶴のアップリケ匂ふがごとき奥むめお女史

千八百円の化繊なりとも紫の衣凛と召す奥むめお女史

小柄なる奥むめお女史檀に立ち社会保障制度の確立を説く

味噌汁を飯を上手にまず炊けと田村魚菜先生の講義

大東京の騒音ここに届かざる五階の部屋に朝の陽をみる

顔を洗いただちに朝の飯を食す大事な事を忘れしごとく


新宿駅に会うべき佑幸は見当たらず空しくなりぬ柿も葡萄も





夜べ吹きし風に散れるは松の葉とヤツデの花の小さき玉と

続けざまにくしゃみをしつつうずくまるジャックは風邪を引きたるらしき
by hahanamiko | 2009-08-02 23:52 | 美知思波